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グスコーブドリの伝記

2013-07-23 (Tue) 20:47

 

 

■グスコーブドリの伝記  ★★☆☆☆
 
(2012年公開)

監督・脚本:杉井ギサブロー
音楽:小松亮太
原作:宮沢賢治

 
 
宮沢賢治が生前に発表した作品のアニメ映画化。
ただし内容はますむらひろしの漫画版がベースです。
つまり登場人物は全て猫!w

わーい、猫いっぱいだー!ヽ(゚∀゚)ノ

背景美術はかなりのクオリティで、
イーハトーヴの世界を美しく描き出しています。
どことなくアンティークな未来世界という感じで、
それが擬人化された猫たちと絶妙にマッチしているんですよ。

音楽もイーハトーヴの雰囲気にぴったりで、
クラシカルな曲調が宮沢賢治の世界をうまく表現しています。
ちょっとサントラ欲しくなりましたw

それと、小田和正が歌う主題歌が、なんつーか

聴いているだけで泣けてくる!
いや~、いい歌だわー。



※以下、ネタバレ。



私は原作は未読です。

この映画は主人公グスコーブドリ(通称ブドリ)の生涯を、
淡々と描いているだけの内容です。
起承転結など無く、事象垂れ流し状態です。

映画の予告編では、
生き別れになった妹を探して主人公ブドリが旅をする物語…

…と紹介されていたのに、ぜんっぜん妹なんか探していないし!www

その気配すらないじゃん!www
とんでもない予告編詐欺でしたw

どちらかというと監督の芸術性が先行した映画ですので、
子供が観ても楽しくないだろうし、大人にも難解な内容ですよ。
可愛らしい猫たちに騙されて観に行った人は、ガッカリすること請け合いw

しかしですね。
私は★2点つけていますけど、嫌いじゃないです。
いや、むしろ好きな一本ですよコレ。

確かに退屈な映画でしたけどね。
うん、でも視聴後に時間をおいてから内容を反芻したところ、
自分なりにこの映画の意味するところを解釈していけたんです。





この映画は『死』を、アニメというオブラートに包んだ
抽象的な方法で表現しているんだと感じました。

物語最初の飢饉により、両親が家を出ていきます。
この別れは、そのまま両親の死を表しています。

そして次に、マントを身につけた猫がブドリの妹をさらっていきます。
このマント猫、いったい何者なのか、それを説明する描写はありません。
私が思うに、このマント猫は、死神なのではないかと思うのです。

死神が妹をさらっていく。つまり、妹の『死』です。
劇中ではこの後、ブドリは旅に出ます。
しかし連れ去られた妹を探そうとはしないんです。
これはつまり、すでにブドリが妹の死を受け入れているからなのだと

解釈できないでしょうか。
それがわかっているから、妹を探さないのだと私は思うのです。

マント猫は、物語の最後の最後で、今一度ブドリの前に現れます。

再びやってきた飢饉からイーハトーヴを救うためには、
誰かが犠牲にならねばなりません。
そしてブドリは大切な人々のために、その自らの命を犠牲にするんです。
だからこそマント猫は、ブドリの前に姿を見せたのでしょう。
ブドリはマント猫とともに、旅立つのです。

このブドリの自己犠牲は、しかしやはりオブラートに包まれて描写され、
何が起こったのか語られないままに物語は終わりを迎えます。





あ、そうそう。原作がどんな内容なのかも検索してみましたよ。
なにこれ、映画とぜんぜん違うじゃんwww

原作だと妹はちゃんと生きていて、再会するんじゃんw

凌雲閣も、魑魅魍魎も出てこないじゃんwww

マント猫は、ただの人さらいなんじゃん!www

実は原作はめっちゃ薄っぺらい本で、
映画ではオリジナルシーンを盛り込んで物語を膨らませているんですよ。
ギサブロー監督、なかなかやりますな!w(※褒めてませんw)



このグスコーブドリの伝記、1994年にもアニメ化されているそうで、
そっちのほうは原作に忠実なんだそうです。
本来の物語を楽しみたい人には、その1994年版を観たほうがいいかも。

(ノ)・ω・(ヾ)ムニムニ
 

 

Last Modified : 2021-03-26

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