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仮面ライダー THE FIRST

2013-10-23 (Wed) 11:31


※これは映画公開当時、mixiにてアップした日記です。


日本ではヒーロー物を 『子供の観る幼稚なもの』 と認識している人々が多いように見受けられます。
アメリカではヒーロー物を一流のエンターテイメントとして作り上げるのに、これは日本とは大きな差ですね。
そもそも日本のヒーロー物だって一流のエンターテイメントになりうる題材のはずなんですが、残念なことにそれを作り上げられる人材が日本では数えるほどしかいないのが現状です。





■仮面ライダー THE FIRST  ★☆☆☆☆
 

(2005年公開)
監督:長石多可男
脚本:井上敏樹

もうすでに仮面ライダーとしての 『仮面ライダー THE FIRST(以下、FIRST)』 の感想は多くの方々に

語りつくされていると思いますので、私は映画ファンとしての視点からレポいたします。

最初に申し上げますと、この映画は十分に仮面ライダーの遺伝子を受け継いでいます。
ライダーファンとしての感想は、最後のほうに………


※以下、完全にネタバレ



主人公・本郷 猛は、城南大学大学院の研究生。

毎日、水の結晶の研究をしている。
水は美しいものを見ると結晶が美しくなる。
綺麗な風景の上に水の入ったビーカーを置いたり、いい音楽を聞かせると綺麗な結晶が出来る。

まず初歩的なツッコミをさせてもらうけど、『結晶』とは原子の配列が空間的に繰り返しパターンを持つような物質のことだ。(参照:wiki)
氷の結晶のことを言うのならともかく、液体である水が結晶化するなんてことは常識的にありえない。
恐らく水の結晶のブームに乗って書いた脚本なんだろうけど、『水の結晶』という現象は科学的に否定されているトンデモ科学なのである。

こんなことはネットで検索すればすぐに調べられる。

このように、全篇こんな調子でツッコミどころ満載。
場面ごとに一々、脳内補完しなければならないという、典型的なリアリティに乏しい映画である。

人が普通に死んでいるのに警察が出てこなかったり、病院内では要所で医師と看護師は出てくるけど他には誰も患者が出てこなかったりと、まるで
「エキストラを雇う予算がなかったんじゃないか?」 
と思えてしまうほどの手の抜きよう。



今作は、原作漫画の設定に非常に近い。
ライダーも怪人も皆、特殊スーツに仮面をつけている。
また改造手術は、真・仮面ライダーのような遺伝子的な改造なのではと思われる。
メカを体に埋め込むわけじゃないようだが、何故か手術台に太さ5cmほどもありそうな巨大ドリルが回転している。
いったい、どこに穴を空けるつもりなんだ?

そしていよいよライダー登場。
ライダー・怪人のデザインは、パトレイバーの出渕 裕氏。
めちゃくちゃカッコイイ! いい仕事してるネ!

ビルから飛び降りる本郷ライダー。
着地した瞬間にバウンドするなど、芸が細かい。

ふとしたことで洗脳が解け、正気に戻る本郷猛
改造人間である彼はその超人的なパワーを持て余し、思うように制御できない。
車に轢かれそうな子供を助ければ、逆に子供の命を危険にさらしてしまうほどに。


石ノ森章太郎の原作にもあるように、FIRSTもまた、主人公が改造人間としての業を背負いつつ、自らのアイデンティティを確立していく物語なんだろう。
その根底にあるテーマを、このシーンにて見て取れた。



突如、何の前触れも無く、おやっさん登場。
本郷はサイクロン号を受け取る。

えーと、あのー………?
伏線も説明も無く、この不自然な展開はなんですか?
てか、おやっさんの出番これだけ?

スパイダーマンのベン夫妻、バットマンの執事など、ヒーローものに年配者を登場させることの意味をわかっているのか?
若者達が道に迷ったり、くじけたりしたときに、そっと背中を押してあげる。
そんな、目立たないけど重要な立役者なのよ?
これじゃただ単に、サイクロン号を登場させるためだけの小道具扱いじゃないか。

しかし、サイクロン号によるバイクアクションは、観ていて実に気持ちよかった。
疾走しながらの格闘戦や、ライダーキックなど、シンプルながらも熱い。
ド派手なCGを使うよりも、このほうが今作にはマッチしてる。



ヒロインの命を狙う怪人クモ男(スパイダー)
「我ら(ショッカー)の姿を見た者は、生かしてはおけない」

え? でも本郷ライダーは警備員に姿を見られまくってたよ?
ショッカーは秘密裏に行動するはずなのに、昼間っから目立ちまくりなんだけど?
幸いにも周りには、まるでエキストラを用意していなかったかのように誰もいなかったけどさ。



クモ男爆死後、今度は一文字隼人(ライダー2号)登場。
20年くらい前のマンガに登場しそうな、カッコ付けキャラ。

おいおい。

高級オープンカーを乗り回し、シャンパンで乾杯w

それ飲酒運転では?
女の口説き方も、まるでギャグw いやー、笑えるwww
本郷とヒロインの取り合い劇を繰り広げ、後にこんな台詞をー

(一文字) 「もっと自信を持て。オレたちは改造人間じゃないか」

いや、それは逆。

この映画のテーマと矛盾してるぞ。



一文字ライダーも裏切り者扱いになり、ヘビ男・ヘビ女ペア(スネーク・コブラ)に命を狙われることに。
このヘビ2人が改造人間となるまでの経緯のエピソードもあるのだが、これがまた非常にひっかかる部分。
本来ならばこれはスピンオフとして描かれるものであり、本筋とは直接絡んでこない。
ぶっちゃけて言うなら、必要ない。
むしろその分を削って、本筋のほうの描写を掘り下げるべきだったんじゃないのか?
何故この2人が背負っている業の重さを、ライダー2人のほうに振り分けられなかったのか?
そこにこそ、この映画が前半で見せたテーマが活きてくると思うんだが。



ヒロインがコウモリ男(バット)に誘拐され、最終決戦に赴くライダー2人。
ショッカーのアジトは(どこにあるのかは不明だが)関東近海と思われる離島。
やたらと目立つアジトだけど、よく今まで見つからなかったものだなー。

ヒロインは改造手術台に乗せられ、今まさに改造されようとしていた。
急げ、ライダー!
でも何故かヒロインは、服を着たまま改造されようとしているぞ?
本郷猛のときには全裸にされたのに!

良心?

クルーザーに乗ってアジトに向かう本郷と一文字。
いったいどこに積んでいたのかは不明だが、

何故か一文字のサイクロンまで登場。

ラストバトルはやはり燃えた!
ライダーダブルキックもカッコイイ!
一文字が途中で逃げ出したり(マテ)、ヘビ2人が爆発しなかったり(笑)と

いろいろ疑問は残るけど、それを差し引いてもこのアクションはイイ。





仮面ライダーをラブストーリーにするのも、大人向けのドラマ作りにするのも、映画のやり方としては十分アリだとは思う。
でもこの映画は、それらを作り出すにはあまりにも脚本家のウデが未熟だ。
正直言ってこの脚本家を採用したのは失敗だと思う。

素人レベルでプロを名乗ってはいけない。

と、まぁ酷評なんですが、ライダーのデザインやアクションはカッコイイし、見所はありました。
私自身、仮面ライダーという作品には特別な思い入れのあるファンの一人ですので。

最後にライダーファンとして一言書かせていただきますと、この映画は仮面ライダーの 『遺伝子』 は受け継いでいるものの、

『魂』 は受け継いではいませんでした。



原作付きの映画を面白く出来るかどうかは、結局のところ 『製作者の技量と、題材に対する愛』 に集約されます。
原作の仮面ライダーは自らを仮面ライダーと名乗ることで、アイデンティティを不動のものとしました。
しかしFIRSTは、ショッカーにホッパーと呼ばれただけで、仮面ライダーと名乗ることはありませんでした。

オチも投げっぱなし。
アクションシーンは楽しいのに、ドラマ部分が…。
映画として大事なものが、かなり欠落している一本でした。
 

(ノ)・ω・(ヾ)ムニムニ



 

Last Modified : 2021-03-26

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