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仮面ライダー THE NEXT

2013-10-31 (Thu) 19:03


※これは映画公開当時、mixiにてアップした日記です。






■仮面ライダー THE NEXT  ★☆☆☆☆
 
(2007年公開)

監督:田崎竜太
脚本:井上敏樹
VFXスーパーバイザー:小林真吾
アクション監督:横山 誠


さて、今作【仮面ライダー THE NEXT(以下、NEXT)】
原点回帰をテーマに掲げ、PG-12としてのシリーズ第2弾である。

石ノ森章太郎の生み出した仮面ライダーは当初、
怪奇性をドラマに打ち出して、お茶の間のテレビに登場した。
子供たちはそのドラマの怖さにドキドキしながら、ライダーを応援していたのだ。



物語冒頭。
ヒキコモリのアイドルオタクが、顔をズタズタに切り裂かれる。
このアバンの描写は、まるっきりジャパニーズ・ホラーそのもの(以下、Jホラー)。
包帯女は、まるでリングの貞子かとツッコミが入るくらいの演出。
私なんぞは、いきなりこのシーンから、思わず椅子からずり落ちてしまった。

まずはこの映画の根幹となる部分からツッコミさせてもらおう。
NEXTは、前作FIRSTと同様に、二つの物語が並行して進行していく。
一つはライダーたちのエピソード。
そしてもう一つがこの、謎の包帯女

包帯女の演出は、流行りのJホラー色で展開される。
それはまぎれもなく恐怖性を表現したものだ。

故・石ノ森章太郎氏および平山亨Pが当初ライダーに求めたものは怪奇性であり、恐怖性などではない。
この二つは似ているようで、まったくの別物である。
スタッフは何を勘違いしてしまったのか、原点回帰と銘打っておきながら、原点の意味を履き違えている!

NEXTの脚本は、前作から引き続き、井上敏樹が担当。今回も相変わらずの暴走で、前作以上に拍車がかかっている。
行き当たりばったりで書いたとしか思えないような脚本には失笑モノ。
伏線が未回収のまま放置されたり、シーンとシーンの繋ぎが省略されていたり、そこにいないはずの人物が突然前触れもなく現れたりする。

物語に整合性が見られないのは、井上脚本の特徴だ。
私なんぞは、シーンが切り替わるたびにツッコミを入れてしまったクチだ。

ところでこの包帯女のエピソード、本筋の物語とは直接絡んでこない。
繋がっているように見えるのは、彼女の設定がそう錯覚させるだけであり、むしろこのエピソードなど無いほうが本筋が上手く流れるのではないか。
私にはそう思えてならない。



映像のセンスは、昭和初期を意識したものなのか、実に古臭い。
70年代の特撮は、技術的にはまだまだ未熟で、表現方法には限界があった。それをあえて現在の技術で表現しようと試みたことには敬意を表する。
しかしそのために見辛く、リアリティのない映像になってしまったのは如何なものか。

例えば、照明の暗すぎる事務所。
Jホラーを意識したというのなら、あまりにも安易だろう。
さらに、普通に人が死んでいるのに警察やマスコミが動かなかったりする。
監督を務めた田崎竜太のダメダメっぷりは、NEXTでも健在だ。

しかし、逆に感心させられた演出もあった。
ライダーが吐血する演出などは、PG-12でなければ出来なかったろう。



この映画の最大の見所は、やはりアクション。これに尽きる。
雨宮監督の牙狼でも活躍した横山誠氏が、NEXTのアクション監督を務めた。
流れるようなアクションの連続には、かなり楽しませていただいた。

元祖ライダーアクションへのオマージュを忘れず、且つ従来のやり方に縛られない心意気には恐れ入る。

ライダーダブルキックや、V3反転キックには心の中で拍手を送った。

ただ欠点もある。
今作はショッカーライダーが多数登場するので、ごちゃごちゃした画面の中では誰がライダーなのか判別しにくくなる。

またラストバトルでは、先述の包帯女のエピソードも並行して描かれるため、シーンが切り換わるたびにアクションの流れが完全に切断される。
(※これは横山氏の責任ではない







まとめ。

NEXTはあくまで本郷を主役に置き、一文字の出番を最小限にしたことで物語としてのブレをかなり抑えることが出来た。
しかし物語の柱を一本にまとめるならば、最初から主人公を風見志郎に据えておくべきだったろう。

今作でも相変わらず個人的な理由で戦うライダーたち。
今回も彼らは【仮面ライダー】と名乗ることも、呼ばれることもない。
改造人間の悲哀を描いているのだろうというのはわかるが、それがあまりに薄っぺらい。



PG-12なので小さな子供には見せるべくもないが、もし 「その子たちが12歳に成長したときに、この映画を見せられるか?」 と聞かれたら、私は 「見せられない」 と即答するだろう。

私がこの映画でもっとも不快に感じたのは、
いじめを否定的に扱わなかったり、

暴力や差別を肯定するともとれる表現を用いている点である。
PG-12だろうがなんだろうが仮面ライダーの名を冠する以上、

それは許されるべきことではない。
 

 
映画の脚本というのは、ただ面白いものを書けばいいというものではない。
特に原作が存在する場合、原作者が何を伝えたいのかをよく理解する必要があるし、映画に限らず物語を書くということは、受け取る側への配慮も考えなければならない。
ただの自己満足で終わってはいけないのだ。





エンドロール後に、ギャグとしか映らない蛇足がある。
これこそまさに、この映画が製作側の自己満足であることを証明している。

 

(ノ)・ω・(ヾ)ムニムニ

  

 

Last Modified : 2021-03-26

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