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ミスト

2013-11-07 (Thu) 22:26


※これは映画公開当時、mixiにてアップした日記です。






■ミスト  ★★★★★

 

(2007年公開)

原作:スティーヴン・キング
    小説/「スケルトン・クルー〈1〉骸骨乗組員 」収録 「霧」
監督・脚本:フランク・ダラボン


知人のオススメで観ました。
私はこれまでスティーヴン・キング原作の映画とは

波長が合わないと思ってきましたが、これは衝撃的。

突然発生した謎の霧のために、
買い物に来ていた主人公と客たちは店内に閉じ込められてしまいます。
その閉鎖空間の中で危機的状況におかれた人間たちの、

未知の恐怖に対するドラマです。

閉鎖空間で、危機的状況を打開しようとするドラマというと、
私がすぐに思いつくのはゾンビバタリアンなどですが、
ミストは少々アプローチの仕方が違います。
店内前面がガラス張りで、外が丸見えなんですよ。

この映画は観る人によっていろんな捉え方ができると思いますが、
これはキリスト教を

肯定・否定するための映画ではないことだけは確かです。
危機的状況に置かれたときの、

人間たちの心理的な怖さを描いているんだと私は解釈しています。



ジャンル的に言えば、ミストは
パニックホラー、SF、オカルト………そんなところなんでしょう。
宣伝では 「映画史上かつてない、震撼のラスト15分」

なんてキャッチコピーがありました。

この映画、登場人物たちの立ち位置と役割が、

とても上手く描かれています。
 

主人公は家族を守ろうとする父親で、

どんなに絶望的な状況下でも勇気を出して行動する人物。
彼を中心として、決して理性を失わない勇気ある者たちが

力を合わせます。

それに対し、この状況を 『神の怒り』 と唱える人物
さらに心理的に追いつめられた人々が、

その声にすがりつき、精神を麻痺させていく…。

もう一人、完全な第三者として、けっして現実を見ようとせず、

あくまでも自分は理性的だと信じる人物
自分の眼で見たことしか信じず、他人の意見に耳を貸そうともしない。
 

 

※以下、ネタバレ

 
 
この映画のオチは、壮絶なブラックジョークです。
まったく笑えない冗談。
この映画をスマートに終わらせるつもりなら、

主人公たちが店を脱出した時点で十分なはず。
あえてその続きを作ったあたりに、

原作のラストを描き直した監督の意図が見え隠れします。
 
この映画で最初に死ぬのは、
不幸にも霧の犠牲になった人々と、現実を見ない第三者です。
霧の正体を知らなかった人々は仕方がないにしても、
情報を一切受け入れようとしない現実主義者が死ぬというのは、

「ざまあみろ」 と感じる反面、「馬鹿だよおまえら…」 と、

なんだかやるせない気持ちにさせられます。
 
そして神の救いにすがろうとする人々が
どんどん人としての理性を失って行く怖さ。
実際に自分があの場に居合わせたとき、

果たして彼らが行ったことを責められるんだろうか?
人間というのは絶望的な恐怖に直面したとき、

誰でも狂気に走ってしまう可能性があるのだから。
 
しかし一番救われないのは、

実は主人公を中心とした 勇気ある者たち なんです。
セオリーどおりならば、真に生き残るべきなのは彼らでしょう。
 
この物語、監督がでっかい皮肉を込めて作っているように感じます。
結局生き残るのは、勇気をもって行動した者たちではなく、

何もせずにじっと助けを待っていた人々ということになってしまう。
  

 

 

CGは偽物っぽく見えるし、

制作費もそんなにかかっているようには見えませんが、
それでもこれだけ心理的にぐいぐい怖さを感じさせてくれる映画が

作れるというのは素晴らしいです。
個人的には、今年のランキングに入れたい一本です。
 

(ノ)・ω・(ヾ)ムニムニ

 

 


Last Modified : 2021-03-26

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