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最高の報酬

2012-12-31 (Mon) 06:51
今より40年くらい前のフランスでのお話です。



首都パリから少し離れたところにある小さな町で、
とある料理店が最近話題になっていました。
その店のシェフは日本人でありながら、
とても素晴らしいフランス料理を作ることでたいへん評判でした。

しかし、自国の料理を日本人が作ることに不満を禁じえない人も多分にいたのです。
とくにその頃、フランスで有名だった料理評論家の一人は、
日本人がフランス料理を作るなどけしからん!と、たいへんご立腹でした。



ある日、とうとうその料理評論家は、その日本人シェフのお店へと、
その味を自分で確かめに行きました。
そしてシェフに対してこう言ったのです。
「この私を満足させる料理を作れ」と。

シェフは臆することもなく、これまでのお客と同じように
料理評論家に料理を作りました。

そして料理評論家は、自分の前に出された料理を口にして驚きました。

味は自国の料理人が作ったものに劣らないどころか、むしろ優しい味わいで、
そしてどこか懐かしい感じのする味なのです。
しかも驚くべきは、フランスには無い独創性がこの料理にはあるのでした。

作ることが難しいアメリケーヌ・ソースは、
少量のカレー粉を使ってコゲを相殺するだけでなく、
さらに柔らかい風味を出していることには、さすがの料理評論家も舌を巻きました。

料理の伝統を守ることは大切だが、冒険心を忘れてしまっては料理は進化しない。
新たな味は、新たな味を求める者たちによって生み出されるのだと、
料理評論家は思い直しました。

料理評論家に呼び出されたシェフは、そのとき彼にこう言ったそうです。

「私の料理でお客様が笑顔になってくれることが、私にとっての最高の報酬です。
 だから私は料理を作り続けるのです」




さて、料理評論家には、たった一つだけわからないことがありました。
最後の一皿のラタトゥーユには、自分が味わったことの無い風味があったのです。
食材は地元で採れるもので間違いは無く…、ではこの味はいったいなんなのか?

料理評論家は、自分の正体をシェフに明かした上で、こんなことを言いました。

「私は君の店に、二ツ星を贈りたい。
 だが一つ聞かせてほしい。
 このラタトゥーユ、この料理には今までに味わったことの無い風味があった。
 この味の正体はなんなのか?
 もしこの味の正体を教えてくれたら、私は君の店に三ツ星をあげよう」


しかしシェフは、その申し出を断りました。
さすがの料理評論家も、店の味の秘密を盗むような真似をして悪かったと謝罪し、
最後に「とても美味しかったよ。メルシー」と言って店をあとにしたそうです。



実はこのとき、たまたま来店していたシェフの友人が、
料理評論家が帰ったあとでこっそりとシェフに聞いたのです。
あの料理の秘密は何なのか?

シェフはくすくすと笑って、その友人に小声で教えたそうです。
それを聞いた友人は、思わずぽんと手を打って納得しました。

「おお、味噌か!」






おおみそか!





…というわけで前置きが長くなりましたが、今日は大晦日ですな!
年越しそば食べて、除夜の鐘を聞きつつ新年を迎えましょうぞー。
オイラは今日も仕事だけどな!w

皆様、良いお年をー。
(ノ)・ω・(ヾ)ムニムニ


Last Modified : 2021-03-26

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