Top Page › 映画 › バケモノの子

バケモノの子

2015-08-03 (Mon) 22:48


■バケモノの子 ★★★★☆


(2015年公開)

監督・原作・脚本:細田 守



細田監督の映画は 『絆』 がテーマとして根底にあるなと、私はいつもそう感じています。
今回も視聴後、同じように感じました。


以前の日記でも少し書いていますが、私は 『親子』 というのは 『親と子』 であると同時に 『親友』 でもあるべきというのが持論です。
大人が子供と話をするときは、決して見下さず、真正面からぶつかり合うこと。
子供もまた一個人であるということを忘れてはいけないのです。


そして子供は親から多くのことを学び、並行して親もまた子供から多くのことを学びます。
どんなに世間から尊敬される立場の親であろうとも、子供と真正面からぶつかり合えないような親ではダメでしょう。




主人公・九太は物語冒頭から大きな孤独を背負わされます。
9歳の子供にとっては地獄そのものでしょう。
そこを偶然通りかかったバケモノ・熊徹が気まぐれから九太を弟子として引き取ります。


この師弟、毎日ケンカばかり。


でも熊徹もまた九太と同様、孤独を抱えたキャラクターなんですよね。
本音をぶつけ合い、互いがいろいろなことを学んでいく。
このバランスこそが、絆を描く上で最高のエレメントだと思います。




『強さ』 とは何か?
ケンカに勝った奴が強いという幼稚な解答は、劇中でバッサリ切られます。


何を以って 『強さ』 とするのか。


やがて九太は成長し、再び人間の世界へと足を伸ばし、アイデンティティを確立させていきます。
自分は何者なのか、何をすべきなのか。
誰もが生きていくうえで当たり前にぶつかる問題ですよね。


みんな悩んで、悩んで悩んで、苦しんだり泣いたりして、
そしてその闇の中から光を見出していくんです。


劇中ではそんな心の闇を、バケモノ的な事象として表現しています。
このへんはファンタジーなんですが、バケモノを扱ったこの映画の設定が、物語を収束するためのガジェットとして機能しています。
うん、とても細田監督らしいなーとは思ったのですが、どうもこの法則が適用されるのが九太たちだけなのが、私としては脳内補完しても補完しきれない部分だったので、★4点とさせていただきました。




※以下、ネタバレのため白字。




九太と対を成す存在である一郎彦は、けっして育ての親から愛情を受けられなかったわけではありません。
むしろその逆で、親への愛ゆえに心の闇を暴走させてしまいます。
一つ間違えば、九太がそうなっていた可能性もあるわけです。


この映画は何が悪くて、何がそうでないのか、
そういった善悪を提示する物語ではありません。


今は、未成年者の残虐な事件や、親の児童虐待などがニュースとして大きく報道される時代です。
だからこそ人との繋がり、絆の大切さを知ってもらいたい…。
私には細田監督が、この物語を通してそう伝えたいのではないかと思うのです。





九太は孤独だったけど、たくさんの出会いを通じて、本当に大切なものを手に入れました。
決して一人ではなく、自分を支えてくれるたくさんの絆がある。
そう感じさせてくれる映画でした。



Last Modified : 2021-03-26

Comments







非公開コメント