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仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE

2013-03-03 (Sun) 11:10



■仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!  ★☆☆☆☆


(2012年公開)

監督:坂本浩一
脚本:中島かずき




先日、SFの傑作 『未来の二つの顔』(著:J・P・ホーガン)を読む機会があった。
人間と機械、まったく異なる存在が困難を経て、互いを理解し合うという物語。たとえ自分たちとは姿も価値観も異なる相手だとしても、許容し、認め合うことはできる。
この物語の未来では、人間と機械が『友達』となっていることだろう。





私は仮面ライダーフォーゼ、テレビ版を一切観ていない。
そして私はSF・科学を愛する者である。

ロケットのフォルムというのは、決して格好良く見せるためにあの形になったのではない。機能性を追従した結果、あの形になったのである。
宇宙への夢を実現するため、多くの人々が努力し、そして命をかけたのだ。

それがフォーゼのあのデザインはなんだ?
ロケット開発に関わってきた人々を馬鹿にしているのか?

そんな理由から、私には番組を正視することができなかった。





そして番組終了からしばらく経っての、DVDによる映画視聴である。
この際、デザインに嫌悪感を抱くことについては目を瞑る。

しかし、予想以上に酷い映画だった………。

テレビ本編を観ていないため、フォーゼに対する思い入れは皆無だったが、それを差し引いてもこれは酷い。

今回は、昭和のテレビヒーロー 『宇宙鉄人キョーダイン』 が悪役として登場する。しかもそれが、現役ヒーローであるフォーゼに無残に殺される。
かつてテレビの前でキョーダインを応援していた当時の子供達が、大人になってからこの映画を観てどう思うのか?

主人公・弦太朗は 「機械と友達になる!」 とのたまう。

しかし宇宙鉄人は友達になることもなくフォーゼに殺され、さらにブラックナイトも死んだ後のフォローがない。
これのどこが 「機械と友達になる!」 なのか?

では 『大鉄人17(XVⅡ)』 の場合はどうか?
友達というのは、ただ仲良くなるということではない。
この映画の脚本家は、善意の押し付けと友情を混同しているのではないのか?
もし前述した 『未来の二つの顔』 を読んでいれば、こんな脚本は書けなかったはずだ。





そして私がもっとも不快だったのは、宇宙空間での描写だ。

大気のない月面で、砂煙が舞い上がり、ミサイルが煙を吹く。さらに月の重力は地球の1/6のはずなのに、そんな様子は微塵も見られない。
この映画に登場する宇宙的シーン(打ち上げ時も含む)の科学的描写は全て間違っている!

まぁ宇宙船の中に重力がある、というくらいなら演出上の問題として見逃してあげてもいい。
しかし宇宙空間で慣性の法則を無視したり、作用・反作用の法則を無視したりするのを見せられると、SF・科学ファンとしてはイライラさせられてしまうのだ。
JAXAを全面に出している以上、フォーゼはそれらの問題を無視していい番組ではないだろう。


今は関連書籍もたくさん出ているし、ネットを使えば必要な知識はすぐに検索できる。
この情報過多の世の中で、そんな子供レベルの知識すら勉強しなかったのかスタッフは?
近年の宇宙ブームに乗って作った番組なのだろうが、あまり馬鹿にしないでいただきたい。




この映画は、口先だけの友情と、いいかげんな科学的知識で塗り固められたエセSFである。子供達がターゲットとなる映画だけに、この作り方には憤りを覚える。
坂本浩一監督の映画は好きだっただけに、今回は本当に残念に思う。



Last Modified : 2021-03-26

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